何か楽しいことないかな?で上京してきたー東京上京ものがたりー

上京してからはや14年もたってしまった。あと4年もすれば生まれ育った町と同じ年数になる。時がたつのはなんて早いのでしょう。これで私もいっぱしの東京人。ひとりインタビュー形式の上京物語をお届けします。(SUUMOで連載したいw)

―18歳のときに上京されましたが、なぜ東京にきたのですか?

(ナツコロ以下)

とにかく小さな島を出たかったから。退屈だったから。職に就いても賃金は安いし、仕事もホテルとかスーパーとかサービス業しかない。最先端のエンタメは皆無だし、映画館はないしでとにかく最新の流行とかエンタメに触れたかった。おもしろいことないかなーって思って上京した。

東京なら仕事はたくさんあるし賃金も高い。初めは都会なら大阪か東京でしょ。と思ったが、そのころすでに兄が東京で働いていて、姉も帰国するタイミングでどうせなら3人で暮らしてみるか、となり兄がマンションを借りてくれていたので、初期費用がかからなかったのが大きい。上京時の所持金は9万円しかなかったので、とにかくお金を稼がなければと思ってすぐ近所のコンビニで働きはじめた。

―そのころのお住まいは?

足立区の大谷田というエリア。最寄り駅は北綾瀬で駅から徒歩15分くらいかかる。ファミリータイプのマンションでキッチンとリビングがつながったような3Kの間取りで、なかなか広かった。といっても実家よりも全然せまくてこれが東京の家か…と驚愕した。私は玄関すぐそばの一番小さい4畳半くらいの狭くて暑い部屋だったけど、なぜか家賃は割り勘。

週末には姉と私の彼氏も遊びにきて総勢6人と部室みたいなノリだった。麻雀や桃太郎電鉄を徹夜でやったり、私が料理番をしていて、大量のごはんを毎日作っていたけど美味しいっていって食べてくれると嬉しかったのを覚えている。

当時の綾瀬はどんな街でしたか?

綾瀬は千代田線の始発駅で都心へのアクセスにも便利。駅前にはスーパーや薬局、パン屋さんもあって生活には困らなかった。綾瀬で買い物したりごはんを食べて帰ることも多かった。今はもうないけど大中という安い若者むけの雑貨店があったのを覚えてる。とにかく高級店は皆無でチェーンの安い店が多く、お金のない私にはまぁ過ごしやすかったかな。

そして、北綾瀬は0番線というなぞのホームがあり、私が住んでいた大谷田は北綾瀬駅からは徒歩15分もあり、郊外感まんさいのエリア。都内へ出るのに車や自転車がないと本当に不便だが、家賃は安い!もうあれから10年以上たつと思うと感慨深いなぁ。

また、治安に関しても足立区はガラが悪いとは言われるが怖い思いをしたことはなかったかも。しかし、DQNは多い。怒りっぽいおじさんとかもたくさんいる。喧嘩っぱやい人が多いような印象はある。それも江戸っ子だからとかじゃなく、生活に余裕のない感じ。

もっとお金を稼ぎたいがモチベーションだった

東京にいれば最先端のものやコトに触れられるけど、そんなとき必要なのはお金。美味しいお店もいっぱいあって誘惑ばっかり。電車でどこへでも行けるから交通費も意外にかかる。そのころコンビニのバイトをしていて時給が850円。2年間フルタイムで8時間働いても一度も時給はあがらず保険もなかったし、年金も払ってなかった。自分の情弱さとオーナーのブラックさにびっくりする。今思えはちゃんと貯金してすぐに稼ぎのいい仕事に転職できるように動けばよかったな。

でも2年も働いたおかげ生活もできるようになって、東京にも慣れてきた。体力仕事よりオフィスで働くほうが絶対いいと思ってそのころIT系の事務職へ運よく転職できた。事務職のほかに土日は宝くじの販売店のバイトなんかもしてとにかくお金が欲しかった。

―次に住んだのはどこですか?

綾瀬から江戸川橋と茗荷谷のエリアに2年ごとに引っ越してどんどん都へあがっていった(笑)文京区の小石川はすごく品のいいエリアで足立区とまったく違う空気が流れている(笑)。池袋なんかにもすぐアクセスできるし、桜の季節は播磨坂が花見客でにぎわう。夜なんかもライトアップされて本当にきれい。神楽坂にも歩いていけるし、おいしいパンやもたくさんある。

―住んでいたところで印象的だったところはありますか?

次に住んだのは中目黒のシェアハウス。一軒家に10人以上の男女が住んでたんだけど、もうみんな生活スタイルがバラバラだからうるさくて寝れない。半年ぐらいで出たんだけど、やっぱりナカメが気に入ってシェアハウスから徒歩5分のマンションを見つけてひとり暮らし。6畳ワンルームで本当に狭くてびっくりする。これで家賃は6万円。でも毎日が楽しかった。徒歩圏内に渋谷、代官山、三宿、池尻大橋、目黒、恵比寿があって電車に乗らない生活が最高すぎる。バスもたくさん出てるから楽ちん。自転車通勤の生活が最高すぎた。台風の日も歩いて通勤してたので、社畜魂も発揮できる。

中目黒のエリアは所得の高い人も住んでいるけど、部屋が狭いのを我慢すればお金がなくても住める。その分最新のエンタメにアクセスできるのはこれぞ東京って感じがする。田舎にいたころに強烈にあこがれていたものが、東京にいるとすぐに手に入る。

すぐ近くでドラマのロケはしているし、おしゃれな雑誌の撮影はしているし、芸能人はよくみかけるし。

代官山蔦屋で無料の立ち読み、豊前房のうどんはおいしいし、俺流塩ラーメン、リゴレット、目黒川の桜並木、トラスパレンテのパンもおいしいし、カルディもあるしってぜんぶ食べ物やないかーい。

独身女がひとりで暮らしていても全然さみしくないそれが中目黒。抜け感のある服装で目黒川をけだるそうに散歩すればナカメ女子の出来上がり。バッグなんかもたないで、小さな財布ひとつでおでかけしてこなれ感を演出するのを忘れずに。

さいごに

「田舎の学問より京の昼寝」という言葉があるように「田舎で学問を一生懸命勉強するより、都の京都にいて昼寝でもしながら、 いろいろな所を見て歩けば知識が知らないうちに身についてしまう」ということわざがある。

本当にその通りで、田舎にいてファッション雑誌やインターネットで情報を仕入れていても、都心に住んでいる人にはかなわない。都心に住んでいるからこそ街を散歩しているだけで自然と最新の情報に触れられるし、生活していると気づかないけど退屈しないんですよね。

東京は何でもありすぎて情報を取捨するリテラシーも大事になってくる。田舎から上京してくる子にはぜひキツくても郊外なんかに住まないで、都心に住んでほしいなぁ。そうすると自分が心地よい生活スタイルというのもわかってくる気がします。