36歳にして急性虫垂炎(盲腸)になった闘病記

自宅でMTG(仕事)をしていると、ヘソ周りのお腹がシクシクと痛み出した。始めはお昼に食べたものがあたったのかな?と思っていたが、痛みがどんどん強くなってきてベッドで横になって少し休んだ。

45分?くらい寝たら、痛みがさらに強くなっていて、あれ? なんだかいつもと違う痛みだな、今までに体験したことない痛みだなと思った。

正直、死ぬかも……と思った。とんでもない痛みにのたうち回っても、意識があれば自分で救急車を呼ぶことはできるが、意識を失ったり、心臓が止まったら、もうどうすることもできないな……と覚悟した。

同居人に連絡をして、

「なんだかいつもと違うお腹の痛みで、不安だからすぐに帰ってこれる?」とLINEしたら、今から帰るとのこと。

数日前に父親が逝去して通夜のため、これまたタイミングが悪い。

鎮痛剤のEVEをのんだらいくらかマシになったので、夜間対応している近所のクリニックに行くことに。せめて痛み止めをもらおうという思惑で出かけた。

が、触診されて超音波で確認したら、

「う〜ん、8割の確率でこれは虫垂炎だと思う。明日、CTで検査しましょう」

と相成りました。

翌朝、CTで検査するとそこの女医から

「急性虫垂炎だと思われる」のお墨付きをいただき、外科手術のできる紹介状を持って病院へ行くことに。

この時、前日に処方されたロキソニンが効いていたので若干の痛みは感じるけど、歩けるレベルだし、食欲もあって、なんならコンビニのおにぎりを一つ食べた。

盲腸は強烈な痛みと聞いていたので、私は薬で散らせば治るやろ〜と、なぜか手術にはならないだろう〜と呑気に構えていた。

ところが、大病院に行くと

血液検査の結果、白血球と炎症反応を示す数値が爆上がっていて、手術しましょう。という流れになった。

子どもの頃から家族もろとも健康で、大病をしたことがないから壮大にビビり散らかした。

主治医も

「脅すわけじゃないけれど、3時間前と今とではCTの結果も悪くなっているようだし、虫垂が破裂すると網膜炎からの最悪、敗血症という怖い結果になることもあるから、手術した方がいいと思う」

とのこと。

まじか……。

さらに私を恐怖に陥れたのは、開腹手術と全身麻酔でやるということだ。

なんでも現代は、腹腔鏡手術というヘソからちゃっちゃっとやる方法があるじゃんよ!傷が目立たなく、回復も早い手術方法があるのにもかかわらず、回復手術とは……。トラディショナルすぎてまた、ビビり散らかした。

開腹手術になったのは、子宮内膜症持ちだから

子宮内膜症と筋腫があると申告したら、癒着しているかもしれないから、開腹にしましょう。と相成りました。

お腹を開けてみないことには状態がわからないのだが、どうせ腹腔鏡手術から開腹になって傷をいっぱいつけるよりも初めから開腹にしましょうということだそうだ。

痛み止めを飲むことで歩けるほどにはなっているが、採血の数値データで見せられると、もう、ここまでで拒否する理由など一つもない。

深夜に救急車で運ばれて手術する方がよっぽど怖いな……とポジティブに考えて、手術に同意した。

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手術、午後からできるよ〜〜〜ん

手術に同意したら早速、医師が段取りを始めた。

「14時半と15時からも手術できるけど、15時くらいでいいっか?」

私は、え?? こんなにエステとか美容室に行くようなカジュアルなの?と驚いた。手術といえば、いついつに入院してその日は絶食して〜とかあるもんだと思っていたが、緊急手術なので、すぐにできるらしい。

緊急で手術するかも。入院するかも。という思考がさっぱり抜け落ちていたので、自宅のエアコンはつけっぱなし、仕事のPCはつけっぱなしで病院にきた。

なんなら、診察後は図書館に本でも返却しようと思って持ってきた。

病人リテラシーが低すぎた。

まだまだコロナ禍ではあるけれど、外来に来ている患者は少なく、病院スタッフの方が多い印象だった。

看護師たちが検査や病棟の段取りにあわただしく動きはじめ、私は家族や同居人に連絡する暇もなく、あれよあれよと手術前の検査に忙しくなった。

盲腸の手術前の検査

  • CT
  • 胸部レントゲン
  • 採血
  • 採尿
  • PCR(鼻からの抗原検査)

もしコロナだった場合、麻酔との相性が悪いらしく念の為PCR検査と胸部レントゲンで確認された。結果、陰性でした。

鼻から細長い綿棒を突っ込んで、痛い。翌日、鼻血が固まってた。

緊急だったからこそすぐに諦めがついて、手術に挑めた

ビビり散らかしていたけど、あれとあれよという間に手術室にいた。歩いて行った。

麻酔科医と看護師2名が立ち会って、説明を受けた。

麻酔科医が

「今日はなんの手術をするかわかりますか?」

と聞いてきたので、素直に「盲腸です」と言った。

ここで生真面目に答えてしまったのが惜しい。麻酔科医は笑顔でなんだか陽気な人だった。安心した。

自力で手術台に乗ると、

「うわ〜っ!! ICLをやった時よりもドラマで見る手術台だ〜!」と興奮した。

もうここまでで恐怖心はない。

私は100回以上飛行機に乗っているが、毎回緊張している。その感覚と似ている。

結局、パイロットも外科医も、その人の能力を信じて命を預けるしかない。最悪、落ちたら……、死んだら……と覚悟する時と似ているなぁと他人事のように思った。

もうなるようになるだろ。逃げられない。

麻酔を吸い込むとつい

「浮遊感があって気持ちい〜〜」と口からでた。10秒後には寝てた。

あっという間すぎワロタ

昼寝の時間終わったか? というぐらいあっけなかった手術。

「○さ〜ん、終わりましたよ〜〜〜!」

との声で起きた。

「え?!はやっ!」

と思った。

酸素マスクが付けられており、思うように声が出ない。

医師や看護師さんたちが、

「出血もあまりなかったね〜」や、「さくらんぼあるから食べな〜」とか、昼下がりのオフィスのOLのような会話をしていて、なんだか安心した。

麻酔の影響で喉がカラカラで、寒気がやばかった。小刻みに震えてたので看護師さんが電気毛布を掛けてくれた。ありがたかった。

お腹を開けた結果。盲腸、癒着してた

手術は2時間くらいかかった。子宮内膜との癒着はなかったが、腸に癒着していたので、医師が

「子どもの頃とか、以前に盲腸やってない? 薬で散らしてない?」

と訊ねてきたので、

「ないですよ」

と答えた。本当に子どもの頃は風邪をひいたぐらいの記憶しかない。

たぶん、大人になってからの謎の高熱や胃腸炎が怪しいなぁと思っている。熱が出て下痢をしていたりすると抗生物質と痛み止めを処方されていた。一日で治ったりするもんだから特に気にすることもなく、日々を送っていた。

薬で散らして対処する場合もあるので、実は気づかないうちに盲腸になっていたのかもなぁと思っている。

急性虫垂炎(盲腸)になる原因は、汚れが溜まって炎症を起こしたり、硬い便が詰まって(糞石)というのがトリガーになって、傷つけて細菌が発生して炎症すると考えられている。

だが、私のお腹の中は糞石もないし、汚れも見えなかったとのこと。でも、盲腸がでかくなっていたから、結果、破裂する前に手術できてよかったとのこと。

初めての尿道カテーテル

術後に歩けない患者は自力でトイレに行けないので、尿道カテーテルを入れられる。膀胱から直接管を通すので、トイレに行かずとも勝手に袋に尿が排出される。

膣に入れられているので、気持ち悪くて気を遣う。入れられている間は尿意を感じないので、つい看護師さんに

「尿意を感じないのだけれど、これで正解?」

と、聞いたら

「正解」だそうだ。

取ったら感じるから、とのこと。

手術後、翌日には歩いて

術後は微熱もあったが、翌日の昼にはひいていた。食欲もある。でも、絶食で水も飲めない。

風呂にも入りたいし、ご飯食べたい。

そして、開腹手術って意外と痛くないんだなーという印象。私が若いからか、それとも痛みに強いからなのか。全く痛くないわけじゃないけれど、歩ける。余裕で歩ける。

病院から徒歩20分の家まで歩いて帰れそうな勢い。

術後の癒着を防ぐために、どんどん病棟を歩け。と言われるけれど、同じ風景を歩き回るのもなんだかつまらなくて、売店に行ったり、遠くのトイレまで行ったりしてやり過ごす。

とにかく病院は退屈だ。

子宮内膜症と筋腫の痛みの方がはるかに辛い

抗生剤を投与されているので、子宮内膜症の薬「ディナゲスト」はストップしている。すると、すぐに生理が始まるので、その痛みがまぁしんどい。

盲腸の痛みが5だとすると、子宮の痛みは8ぐらいある。偏頭痛は6〜7ぐらい。いずれもロキソニンをのむと楽になる。

3泊4日で退院した

手術後2日目から水を飲むことができた。最高! そしてお粥と柔らかく炊いた野菜のおかずもいただけることになった。

正直言ってまずい。いや、食材の味をシンプルに感じられる味付けは久々だ。赤子の時以来かな。

病気になってわかる健康のありがたさ

10年来、子宮疾患に悩まされている持病持ちだけど、突発的な病気になるとしみじみ健康のありがたさを思い知らされる。また、家族以外の面会は認められないとか、連絡先は家族優先とか。

独身って不安だな。今後結婚しても配偶者が死んだ場合はどうするのよ……と思う。高齢で何もできないとかね……。映画「プラン75」の世界が、そう遠くない将来にあったらいいのかもな……と思わされるのでした。