独占業務で希少性高め!?不動産登記の専門家「土地家屋調査士」

土地家屋調査士とは?

土地家屋調査士は、土地や建物の所在・形状・面積などを正確に測量・調査し、それをもとに法務局に登記申請する専門家です。

不動産登記制度に基づいて、土地の分筆・合筆、地目変更、新築や増改築による建物登記などを行い、不動産の正確な権利記録を守る役割を担っています。

司法書士が権利に関する登記を担当するのに対し、土地家屋調査士は“物理的な情報”に関わる登記を専門とします。

測量や法的な知識に加え、近隣住民との境界確認やトラブル防止の調整など、コミュニケーション力も重要です。

独立開業がしやすく、長く安定して働ける点も魅力で、不動産業界や建設業界と関わりながら、社会インフラの一端を担う国家資格として注目されています。

資格取得には国家試験の合格が必要ですが、合格者が少ないため希少価値も高い専門職です。

✅ 土地家屋調査士の主な仕事

土地の調査・測量

  • 境界の位置・面積・形状などを正確に測量
  • 境界が不明確な場合、隣地所有者と立ち会いのうえ確認・合意を得る
  • トラブルを防ぐための説明や交渉も行う(これが非常に重要)

土地の登記申請手続き

  • 分筆登記:1つの土地を2つ以上に分ける手続き
  • 合筆登記:複数の土地を1つにまとめる手続き
  • 地目変更登記:田から宅地などへの地目変更

建物の調査・登記

  • 新築・増築・取り壊し時の建物登記(表題登記・変更登記・滅失登記)
  • 建物の面積、構造、所在などを調査して正確に記録する
  • 建物が建っている土地との整合性も確認する必要がある

図面の作成・提出

  • 測量結果に基づいた「地積測量図」や「建物図面」を作成
  • 登記申請書類と一緒に法務局へ提出
  • 正確かつ法的に通用する書類作成スキルが求められる

境界確定や紛争予防の立ち合い・調整

  • 土地所有者間の境界トラブル防止のため、現地立ち合いや説明を実施
  • 必要に応じて弁護士や司法書士と連携するケースも

✅ 土地家屋調査士の1日の業務スケジュール(例)

体を動かす現場仕事と、頭を使う図面・登記作業の両立が求められる専門性の高い士業です。道具や技術の進化もあり、今後も重要性が高まる分野といえます。

土地家屋調査士の1日は、外での測量作業と、事務所での図面作成・登記書類の準備という「フィールドワーク」と「デスクワーク」の両方で構成されています。

以下に、具体的な1日の業務スケジュールと、現場で使う主な機材・ツールをご紹介します。

時間帯内容
8:30〜9:00出社・当日のスケジュール確認、機材準備
9:00〜12:00測量現場へ出発(境界確認・GPS測量・立ち会いなど)
12:00〜13:00昼休憩(現場近くでランチ)
13:00〜15:00午後の測量作業/隣接地所有者との境界立会い
15:00〜17:00事務所へ戻り、測量データの整理・図面作成(CAD)
17:00〜18:00登記申請書類の作成・法務局への提出準備、翌日の段取り
18:00業務終了・退勤(繁忙期は残業あり)

👉 雨天時は、外作業が中止になり、図面作成や書類作成などの内勤に充てることもあります。

✅ 測量現場で使う主な機材・ツール

機材・ツール役割・特徴
トータルステーション地点間の角度・距離を精密に測る機械。境界点の測定に使用。
GNSS測量機(GPS)衛星からの信号を使って、高精度な位置情報を測定する。広い現場や境界不明地に有効。
プリズムポール・ミラートータルステーションとセットで使う反射器。距離測定に必要。
測量用三脚測量機器を安定して設置するために使用。
デジタルレベル(レベル測量機)高低差や傾斜の測定に使用。特に造成や建築前の測量に活躍。
電子野帳(フィールドノート)やタブレット測定データを現場で記録・管理。紙ベースも併用されることあり。
CADソフト(Jw_cad、AutoCADなど)測量データを元に、図面を作成するためのソフト。登記図面にも活用。

✨補足ポイント

  • 測量はチーム作業が多く、助手や補助スタッフと連携して動くことが多いです。
  • 現地立ち合いや近隣説明では、説明力・交渉力・人間関係構築力も求められます。
  • 書類や図面はミスが許されない正確性重視の業務です。

✅ 土地家屋調査士を取得するメリット

独占業務による安定性

土地の境界確定や建物の登記申請に関する業務は、土地家屋調査士にしかできない独占業務です。不動産の売買、相続、開発、公共事業など、不動産に関わる限り必ず需要があるため、景気に左右されにくく、安定したニーズがあります。

専門性の高さで差別化できる

登記・測量・不動産法務の知識を兼ね備えた士業は少なく、司法書士や行政書士とも連携して働くことが多いです。技術者としても法律家としても活躍でき、多分野と連携する専門職として重宝されます。

独立開業しやすい

資格取得後すぐに自分の事務所を持って開業できる点が大きな魅力です。実力次第で年収1,000万円以上も可能で、将来的に自由な働き方を目指す人にとって魅力的です。

全国どこでも働ける

土地や建物がある限り、どの地域にも仕事があります。都市部だけでなく地方や郊外でも需要があり、地域密着型で長く働ける職業です。

数が少なく希少価値が高い

全国で約1万7,000人程度しかおらず(司法書士は約2万人以上)、競合が少なく高収入を狙いやすい士業です。特に若い世代の調査士は不足しており、将来性にも期待できます。

✅ 土地家屋調査士に向いている人の特徴

正確さや丁寧さを大切にできる人

土地や建物の登記情報は、法務局に長く残る「公的記録」です。ミスが許されない世界なので、図面や測量データを几帳面に扱える人は信頼されます。

現場作業に抵抗がない人

外での作業が多く、炎天下や雨の日の測量もあります。体を動かすことが好きで、アウトドアに抵抗がない人は向いています。

コミュニケーション能力がある人

境界確定には、隣地所有者との立ち会いや説明が必要です。誠実に説明し、信頼関係を築く力が重要です。調整力・対話力がある人は活躍しやすいです。

法律や不動産に興味がある人

登記や境界には不動産登記法や民法などの知識が必要です。測量だけでなく法律にも興味を持てる人は、より高い専門性を発揮できます。

独立や自営業に興味がある人

土地家屋調査士は独立開業しやすく、自分で事務所を構える人も多いです。将来自分のペースで働きたい人、自立心がある人にはぴったりです。

✨こんな人にも向いています

タイプ活かせる力
元建設業・測量業出身者実務経験がそのまま武器に
コツコツ型の性格書類・図面作成に強み
地元志向の人地域密着で活躍できる

✅ 土地家屋調査士の想定年収(働き方別)

働き方想定年収備考
① 調査士事務所の補助者(未経験〜)約300万〜400万円資格取得前の見習いや実務補助。残業多めの事務所も。
② 調査士事務所に勤務(有資格者)約400万〜600万円実務経験を積み、登記申請や現場測量も担当。
③ 法人勤務(建設会社・不動産会社)約450万〜700万円インハウス調査士。管理職や資格手当あり。
④ 独立開業(個人事務所)約600万〜1,000万円以上地域での信頼・案件数によって収入は大きく変動。
⑤ 法人化・複数スタッフを抱える事務所1,000万〜2,000万円以上安定受注・官公庁案件などがあると高収入も可能。

✅ 年収を上げるためのポイント

  • 営業力・人脈:建設会社・不動産業者・行政と信頼関係を築くことが収入に直結
  • 資格の複数保有:司法書士・行政書士と組み合わせると業務の幅が広がり高単価案件も
  • 地域のニーズ把握:地価の高い都市部は高単価、地方は顧客密着型でリピートを得やすい

✅ 土地家屋調査士 資格取得までのステップ

【STEP 1】受験資格の確認

土地家屋調査士試験は、年齢・学歴・職歴など一切不問です。
誰でも受験可能な国家資格で、社会人・主婦・学生など幅広く目指せます。

【STEP 2】試験勉強を始める

土地家屋調査士試験は難関のため、以下の学習が必要です。

試験科目内容
【午前】民法・不動産登記法(択一)登記制度の法律知識を問う
【午後】作図問題(実技)+記述式測量知識・図面作成力・記述力が必要
  • 独学、通信講座、専門学校(LEC・TACなど)から学習方法を選ぶ
  • 勉強期間の目安:1〜2年程度

【STEP 3】土地家屋調査士試験に合格

試験は年1回(例年10月)に実施され、2段階制です。

試験内容
第1次試験(筆記)択一+記述+作図。合格率8〜10%程度の難関。
第2次試験(口述)合格者対象。面接形式(例年12月)。通過率ほぼ100%。

👉 合格後は「合格証明書」が交付されます。

【STEP 4】土地家屋調査士会に登録

  • 各都道府県の「土地家屋調査士会」に登録申請(登録料あり)
  • 登録後、正式に「土地家屋調査士」として名乗り、業務が可能になります
  • 登録後は事務所を開設するか、調査士事務所などに就職します

✅ まとめ:取得までの流れ

誰でも受験可
  ↓
勉強(1〜2年)
  ↓
国家試験合格(筆記・口述)
  ↓
土地家屋調査士会へ登録
  ↓
業務開始(勤務 or 独立)

💡補足:実務経験は不要

土地家屋調査士は、実務経験がなくても試験合格で登録できるため、未経験からでも目指しやすい士業です。

✨まとめ

国家試験に合格すれば学歴・年齢に関係なく資格取得が可能で、独立開業もしやすく、年収は600万〜1,000万円以上も目指せます。外作業とデスクワークの両方があるので、気分転換をはかれるのがいいところ。職業としての希少性も高いので、「え? なんの仕事?」と人に興味を持ってもらえるのもユニーク。