税理士は、税務の専門家として、法人・個人の税金に関する申告、相談、書類作成などを行う国家資格です。
主な業務は、所得税・法人税・消費税などの確定申告書作成や節税アドバイス、税務調査への対応、企業の会計帳簿のチェックや経営相談などです。
税法は複雑で頻繁に改正されるため、専門的な知識と継続的な学習が求められます。税理士になるには、税理士試験に合格し、実務経験を積んだ上で登録する必要があります。
税理士試験は11科目中5科目に合格する必要があり、科目合格制なので数年かけて取得する人が多いです。働き方は幅広く、税理士法人や会計事務所で勤務するほか、独立開業して顧客を持つ人も多くいます。
企業経営者や個人事業主の良き相談相手として、信頼性の高い専門職であり、独立志向の強い人にも人気の資格です。
✅ 税理士の主な仕事
税理士の仕事は、主に税務に関する専門的な業務を通じて、個人や企業の経営・財務をサポートすることです。税務の知識だけでなく、会計、法律、経営に関する理解も求められ、信頼されるパートナーとして活躍できます。
1.税務代理
- 所得税・法人税・消費税・相続税などの税金に関する申告や届出を、本人に代わって行う業務
- 税務調査があった際には、税務署との対応・立会いも行います
2.税務書類の作成
- 確定申告書、決算書、申告明細書など、税務署に提出する各種書類の作成
- 法人・個人問わず、正確な帳簿と資料に基づいて税額を計算します
3.税務相談
- 節税対策、相続・贈与、会社設立時の税制優遇、年末調整などについて、わかりやすくアドバイス
- 顧客のライフプランや経営計画に沿った助言を行います
4.会計業務・経理指導
- 日々の帳簿記帳や会計ソフトの導入支援など、中小企業の経理面をサポート
- 会計基準に則った財務諸表の作成支援や、試算表の提供も行います
5.経営コンサルティング
- 経営分析・資金繰り改善・事業承継など、数字を通して企業の経営を支援
- 特に中小企業にとっては、税理士が経営の“右腕”となるケースも多いです
🏢 活躍の場
- 税理士法人・会計事務所
- 企業の経理・財務部門
- 独立開業(自宅事務所やオフィスを構える)
- 相続専門・医療業界特化など、分野特化型で活動する人も多数
💰 税理士の想定年収
働き方 | 想定年収 | 特徴 |
---|---|---|
✅ 会計事務所勤務(新人〜5年目) | 約300万〜500万円 | 実務経験を積む時期。徐々に昇給あり |
✅ 会計事務所勤務(中堅〜管理職) | 約500万〜800万円 | 顧客対応やマネジメントで収入アップ |
✅ 税理士法人の幹部・パートナー | 約800万〜1,200万円以上 | 大手税理士法人での重役ポジション |
✅ 独立開業(個人事務所) | 約500万〜2,000万円以上 | 顧問数・案件内容・営業力により大きく変動 |
✅ 資産税(相続・贈与)特化型 | 約800万〜1,500万円以上 | 高単価で需要増。地方でも高収入可 |
✅ 非常勤・副業型 | 約100万〜300万円 | 企業勤務と両立するパターンもあり |
📌 年収アップのポイント
- 顧問契約を多数持つ(毎月安定した収入)
- 相続税・事業承継など専門分野に特化
- FP、司法書士などとの連携で付加価値提供
- セミナー・執筆・YouTubeなど情報発信型でブランド化
🔍 平均年収(全国データ参考)
- 日本税理士会連合会などの調査によると、
税理士全体の平均年収は約800万円前後とされています
※独立税理士が高年収層を引き上げている
✅ 税理士資格取得のステップ(王道ルート)
【受験資格を満たす】
税理士試験を受けるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります:
区分 | 詳細 |
---|---|
大学卒(学部不問) | ① 法学 or 経済学の科目を1科目以上履修していればOK |
短大・専門卒 | 一部の学科・単位要件あり(※指定科目) |
実務経験 | 会計・税務に関する業務2年以上 |
会計士・日商簿記1級所持 | 一部免除あり or 受験資格クリア |
【試験勉強(年単位での準備が必要)】
- 試験科目は全11科目のうち5科目に合格すればOK
- 必須科目:簿記論・財務諸表論(2科目)
- 選択科目:法人税・所得税など(3科目)
- 科目合格制なので、1年1~2科目ずつ受ける人が多い
- 独学も可能だが、予備校(TAC・大原など)利用が主流
【税理士試験に合格(科目合格制)】
- 試験:年1回(8月)
- 合格率:各科目10〜15%程度
- 5科目合格まで平均5〜7年程度かかる人が多い
【実務経験2年以上】
- 会計事務所や税理士法人、企業の経理部門で税務実務に2年以上従事することが必要
- 試験合格後でもOKだが、働きながら受験する人も多い
【税理士として登録】
- 全国の税理士会に登録(登録料:約5万円程度)
- 晴れて「税理士」を名乗ることが可能に!
✅ 補足:一部免除のルートもあり
資格 | 内容 |
---|---|
公認会計士 | 試験一部免除(5科目免除で登録可) |
国税専門官OB | 実務経験により試験一部免除 |
✅ 税理士になるための流れ
- 受験資格の確認(学歴・実務など)
- 勉強スタート(科目合格制)
- 5科目合格で試験クリア
- 2年以上の税務実務を経験
- 税理士会に登録し、資格取得!
✅ 高卒から税理士になる3つの方法
【大学・短大・専門学校で所定の科目を履修する】
- 大学や短大に進学し、「法律学」または「経済学」関連の科目を1科目以上履修すれば受験資格が得られます。
- 専門学校(税理士養成課程・高度専門士)でも対応可能なところがあります。
🕒 期間:短大や専門学校 → 2年/大学 → 4年
【日商簿記1級または全経上級に合格する】
- 以下のいずれかに合格することで、受験資格が得られます。
資格 | 難易度 | 備考 |
---|---|---|
日商簿記1級 | 難関(合格率10%前後) | 予備校利用が一般的 |
全経簿記上級 | 日商1級と同等 | 高卒者にとって現実的なルート |
🕒 期間:平均6か月〜1年程度(個人差あり)
【会計事務所などで実務経験を積む】〜働きながら受験勉強をするスタイル〜
- 会計事務所や税理士法人などで会計・税務に関わる実務を2年以上行えば、受験資格を得られます。
✅ 税理士になるまでの流れ(高卒の場合)
ステップ | 内容 |
---|---|
① 受験資格を得る | 上記①〜③のいずれか |
② 試験勉強開始 | 科目合格制(平均5〜7年) |
③ 税理士試験合格(5科目) | 簿記論・財務諸表論+選択3科目 |
④ 実務経験2年 | 会計事務所などで勤務(順序は前後可) |
⑤ 税理士登録 | 全国税理士会に登録して名乗れるように |
✅ 税理士に向いている人の特徴
📊 数字に強く、細かい作業が苦にならない人
- 税金計算や帳簿チェックなど、正確な数字の処理が基本業務
- ミスが許されないため、注意深く作業できる人が向いています
📚 勉強を継続できる人
- 税法は頻繁に改正されるため、合格後も継続的な学習が必要
- 試験も長期戦(5科目合格制)なので、コツコツ型が有利です
🧑💼 人と信頼関係を築ける人
- クライアントとの長期的な関係が大切。誠実さ・丁寧さ・礼儀が求められます
- 経営者に「相談したい」と思ってもらえるような安心感を与える人が強いです
💬 分かりやすく説明できる人
- 難解な税法を、お客様にかみ砕いて説明する力が必要
- 話し方や資料の工夫で、顧客の理解度と信頼感が高まります
🧭 独立志向・自営業思考がある人
- 将来、独立開業を目指すなら、営業力や経営感覚もあると強みになります
- 士業として自分の「ブランド」を築きたい人にも向いています
👤 特に向いているタイプ
タイプ | 向いている理由 |
---|---|
コツコツ真面目な人 | 長期学習や地道な業務が得意 |
人に尽くすのが好きな人 | 顧客対応力が強みになる |
ロジカル思考が得意な人 | 税務判断に活かせる |
独立・起業したい人 | 開業税理士として活躍しやすい |
✅ まとめ
税理士に向いているのは、「数字に強く、人にも優しい、コツコツ努力できる人」。
専門知識 × 信頼関係 × 実務力の3つをバランスよく育てられる人が、税理士として長く活躍できます。税理士には定年がないところも魅力です。登録を維持していれば、年齢に関係なく業務可能です。独立開業したり、定年後にフリーランスとして70代・80代でも現役でお仕事が続けられます。