ITストラテジストとは
ITストラテジスト試験(ST試験)は、経済産業省が所管する国家資格です。情報処理技術者試験の高度区分に位置づけられています。
正式名称は「情報処理技術者試験(ITストラテジスト)」で、情報処理の促進に関する法律に基づく国家資格です。
この試験は、企業の経営戦略とIT戦略を結びつける高度な専門家を対象としており、単なるシステム開発や運用ではなく、経営視点からのIT活用能力が問われます。
具体的には、ITを活用した新規事業の立案、デジタル化戦略の策定、IT投資の評価、リスクマネジメントなど、経営層やCIOに近い役割を担う人材が想定されています。
試験は年1回で、午前I・II(知識系)、午後I(記述)、午後II(論述)の構成となっており、合格率は約15%前後です。
ITストラテジスト試験に合格すると、企業のIT戦略策定やプロジェクト推進において強い信頼を得られ、ITコンサルタントや情報システム部門の上級職、CIO候補としてのキャリア形成にも大きく役立つ国家資格です。
ITストラテジストの仕事内容
1. IT戦略の立案
- 企業の経営目標に基づいて、中長期的なIT活用方針を策定
- DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI・クラウド活用などを含めた戦略を立案
2. IT投資・システム企画
- 新システムやサービスの導入計画を立て、ROI(投資対効果)を分析
- 必要に応じて社内外のリソースやベンダー選定を行う
3. プロジェクトマネジメント・推進
- 戦略に沿ったITプロジェクトを計画・監督
- 経営層や現場と調整し、プロジェクトのリスク管理や成果の最大化を図る
4. リスクマネジメントと情報セキュリティ
- システム障害や情報漏洩などのリスクを事前に評価・対策
- 法令や規格に基づいたガバナンスを構築
5. 経営層への提案・コンサルティング
- 経営会議でのIT戦略提案
- 新規事業や業務改革におけるIT活用のコンサルティング
ITストラテジストの魅力
✅ 経営に直結するIT人材として活躍できる
ITストラテジストは、単なるシステム構築ではなく経営戦略の策定や事業成長に直結するIT戦略の立案を担います。経営層に近いポジションで働けるため、組織への影響力が大きく、やりがいがあります。
✅ 高度な専門性で市場価値が高い
国家資格「情報処理技術者試験(高度区分)」の中でも上級資格であり、IT×経営の両方を理解する人材として高く評価されます。ITコンサルタント、システム企画、CIO候補などのポジションで重宝されます。
✅ キャリアと年収の向上が期待できる
ITストラテジスト試験合格や実務経験は、昇進・昇給や転職市場での強力な武器になります。特にITコンサル企業やSIer、事業会社の情報システム部門では年収アップに直結しやすいです。
✅ DX・AI時代での将来性が高い
デジタルトランスフォーメーション(DX)やAI活用が進む現代において、経営視点でITを活用できる人材は慢性的に不足しています。今後も需要が高く、長期的なキャリア安定に繋がります。
✅ 戦略策定から実行まで関われるやりがい
経営戦略に沿ったIT施策を企画し、導入から運用まで携われるため、自分の立案した戦略が企業の成長に直結する達成感を味わえます。
ITストラテジストになった場合の想定年収
■ 企業内ITストラテジスト(情報システム部門・社内SE)
- 年収:約600万~900万円
大手企業やIT戦略部門に所属する場合、管理職候補としての待遇が期待できます。
ITストラテジスト試験の合格は、昇進や専門職手当の加算に繋がるケースもあります。
■ ITコンサルタント・SIerのストラテジスト職
- 年収:約700万~1,200万円
コンサルティング会社や大手SIerでは、クライアント企業のIT戦略立案やDX推進に関わるため、報酬水準が高めです。
シニアコンサルやマネージャー以上になれば、1,000万円を超えることも珍しくありません。
■ フリーランス・独立系コンサルタント
- 年収:800万~1,500万円以上も可
戦略立案やプロジェクトマネジメントの実績があれば、独立して案件ごとに報酬を得る働き方も可能です。
1案件で月50~100万円の報酬もあり、経験と人脈次第で大幅な収入アップが期待できます。
ITストラテジストになるためのステップ
1. 受験資格の確認
- 年齢・学歴・実務経験に制限はありません。
誰でも受験可能ですが、ITの基礎知識+経営戦略の理解が求められるため、情報システム部門やITコンサル経験があると有利です。
2. 試験の概要を理解する
ITストラテジスト試験は、経済産業省所管の国家資格(情報処理技術者試験の1つ)で、年1回実施されます。
試験は以下の構成です
- 午前I(多肢選択式)
- 基本情報処理レベルの知識。免除可能(他試験合格など)。
- 午前II(多肢選択式)
- IT戦略、経営戦略、システム企画などの知識。
- 午後I(記述式)
- 事例問題を読み、戦略立案や課題解決を記述。
- 午後II(論述式)
- 事例に基づき、IT戦略立案のプロセスを論文形式で回答(合否の最重要パート)。
3. 学習方法
- 学習時間の目安:500~800時間程度
- 経営戦略やシステム企画に関する知識が必須のため、過去問演習と論文対策が重要です。
- 独学も可能ですが、午後IIの論文対策は通信講座や参考書を利用する人が多いです。
4. 試験合格後のキャリア
- 試験合格だけで「資格」として名刺に記載可能
- その後は、ITコンサルIT・システム企画・CIO補佐などの業務で活躍可能
まとめ
経営戦略とIT戦略を結びつけ、企業の成長やDX推進を支える国家資格「情報処理技術者試験(高度区分)」の一つである、ITストラジスト。学歴に不安を覚える人なら資格取得をして年収アップにつなげることも可能です。
T戦略の立案、システム企画、投資評価、リスク管理、プロジェクト推進、経営層への提案などを行って経営に近いところで能力を発揮できるところが魅力です。